「できるだけ早く利益を出したい」「投資のチャンスを逃したくない」という理由から、短期投資に興味を持つ方は多いのではないでしょうか。特に投資の経験が浅いと、短い期間で大きなリターンが得られるというイメージが魅力的に映ります。
しかし、短期投資は長期投資とは異なるリスクや心構えを伴うものでもあります。そこで本記事では、短期投資を初心者が始める際の基礎知識から、短期投資ならではのメリット・デメリット、そして実は長期投資の方が初心者向けとも言える理由について詳しく解説します。
短期投資で成功を目指すためには、投資先やタイミングの判断はもちろん、手数料や精神的負担など多角的な視点が必要です。一方で、長期投資との違いを理解することで、自分に合った投資スタイルを見極めるきっかけにもつながります。ぜひ最後までご覧いただき、今後の投資方針の参考にしてみてください。
短期投資とは?初心者向けに解説
短期投資とは、数日から数か月程度の比較的短い期間で売買を行い、キャピタルゲイン(売却益)を狙う投資手法を指します。株式やFX、仮想通貨、投資信託の中には短期売買に適した商品が多く存在し、その値動きを活かして利益を獲得することを目的とするのが短期投資の大きな特徴です。
一般的には、株式市場や為替市場などで一定のテクニカル分析やチャートのパターンを利用し、売買タイミングを狙うアクティブな投資手法として知られています。マーケットの状況によっては一日単位で大きく値動きする銘柄もあるため、うまく取引できれば短期間で大きなリターンを得ることも可能です。その反面、値動きに張り付いてこまめにチェックする必要があり、投資経験が少ない初心者にとってはハードルの高いスタイルになりがちです。
下記は短期投資と長期投資を比較したざっくりとしたイメージ例です。
投資期間 | 短期投資:数日~数か月 長期投資:数年~数十年 |
利益の狙い方 | 短期投資:キャピタルゲイン中心 長期投資:キャピタルゲイン+インカムゲイン |
必要な分析 | 短期投資:テクニカル分析重視 長期投資:ファンダメンタル分析も重視 |
このように、短期投資は売買を頻繁に行うケースが多いことが特徴です。投資経験を積み重ねた上級者が活用するイメージも強いですが、だからこそ魅力を感じて挑戦したいと考える初心者の方も少なくありません。
長期投資との違い
長期投資は、数年から数十年という時間軸で資産を成長させることを目的とした投資スタイルです。企業の業績や市場全体の動向に期待しながら、長期間にわたって保有し、そのあいだに得られる配当(インカムゲイン)や株価成長による利益を狙います。市場の一時的な下落に対しても、時間をかけて回復を待つスタンスをとることでリスクを分散し、結果的に堅実なリターンを目指すことが可能です。
一方、短期投資は文字どおり短いスパンでの売買を繰り返すため、市場の急騰・急落にすばやく対応しながら利益を狙わなければなりません。値動きの激しい銘柄や商品を中心に取引することも多く、リスク管理とタイミングが重要なポイントとなります。初心者が挑戦する際は、リスク許容度や必要な資金量をしっかりと考慮することが大切です。
短期投資のメリット3つ
短期間で利益を狙うことができる
短期投資の最大のメリットは、何といっても短い時間でリターンが得られる可能性がある点です。値動きの激しい銘柄や市場では、一日や数日のうちに株価が大きく上昇するケースもあります。そのタイミングを捉えれば、長期投資では得られにくいスピーディーな利益を享受できるでしょう。
また、短期投資は常に相場の動きをチェックするため、市場の変化に機敏に対応できるという特徴があります。大きく値が動きそうなイベント(企業決算や経済指標の発表など)に合わせて売買を行うことで、リスクを管理しつつ効率的に収益を狙いやすくなります。
長期的な予測が必要ない
短期投資では、企業の中長期的な業績見通しや世界経済の長期的な展望などを深く分析する必要が比較的少ないといえます。株価や為替レートなどの短期的なトレンドやチャートの形状を重視して売買タイミングを判断するため、ファンダメンタルズ分析(企業の成長性や収益力を測る分析)に時間を割く必要はあまりありません。
もちろん、最低限の経済知識やニュースのチェックは必要ですが、長期投資のように「今後10年~20年先の社会の動向」まで考え抜く労力はかからないという点は、短期投資ならではの利点といえるでしょう。
経済の不確実性に左右されにくい
長期投資の場合、世界的な金融危機や経済不況などが発生すると、保有資産の価値が大幅に下落してしまい、回復までに長期間を要することがあります。短期投資であれば、常に保有期間が短い分、そうした大きな下落リスクに巻き込まれる前に素早く手じまいできる可能性が高いです。
さらに、長期的な経済状況が不透明なときでも、短期的な値動きを狙ってこまめに売買を繰り返すことで、相場全体の下落局面を回避する機会があります。大きな経済変動が起きても売りでポジションを取るなどの戦略を柔軟に使えるため、不確実性をある程度ヘッジできるのは大きな強みです。
短期投資のデメリット3つ
初心者にとってはリスクが大きい
短期投資は迅速な判断と高度なリスク管理が求められるため、投資経験が浅い初心者にとってはかなりハードルが高い手法です。リターンを大きく狙える反面、その分損失リスクも高いことを理解しておかなければなりません。値動きの激しい銘柄やレバレッジをかけた取引を不用意に行うと、想定以上の損失を被る可能性があります。
また、相場を見誤ってしまったときや思惑が外れたときに損切りの判断を素早く行うのは、メンタル的にも大きな負担がかかります。初心者は相場の経験を積む前に大きな損失を出してしまい、その後投資を続けるモチベーションを失ってしまうケースも少なくありません。
インカムゲインを期待できない
短期投資では、長期保有による配当金や株主優待、不動産投資における家賃収入などのインカムゲインを十分に得ることは難しいです。売買差益を狙うことがメインとなるため、もし相場環境が急激に悪化した場合にはキャピタルゲイン自体も期待しづらくなる点がリスクとして挙げられます。
長期投資の魅力の一つである「保有しているだけで得られる収益」がなく、常に短期的な値動きに左右されるため、収益機会の幅は狭くなりがちです。特に、今後継続的に増配を見込める安定企業などに長期投資した場合には、数年~数十年先に大きなリターンが得られる可能性がありますが、短期投資ではそうした恩恵を享受しにくい面があります。
手数料の負担が大きくなる
短期投資は売買回数が増えるため、その都度発生する売買手数料が大きな負担となります。頻繁に取引を行うほど手数料コストも嵩み、結果的に利益を目減りさせてしまう要因にもなります。証券会社の手数料プランやスプレッドなどをしっかり比較し、なるべく低コストで取引を行う工夫が必要です。
また、証券会社によっては信用取引を利用する場合に別途金利や貸株料なども発生します。こうしたコストを計算に入れずに短期投資を始めてしまうと、思ったよりも手元に残る利益が少ないという事態になりかねません。コスト管理の知識と意識を高めることは短期投資の成功には欠かせないポイントです。
投資初心者は短期投資ではなく長期投資がおすすめ
リスクが比較的小さい
投資初心者に長期投資をおすすめする最大の理由は、時間を味方につけることでリスクを軽減できるためです。株価や市場は短期的には大きく上下にぶれることがあっても、長期的には緩やかな成長トレンドに乗るケースが多いとされています。いわゆる「時間分散」の効果によって、一時的な価格下落によるダメージを緩和できるのです。
また、運用対象も分散投資を心がければ、さらにリスクを低減できます。株式だけでなく、債券や不動産投資信託(REIT)など、異なる値動きをする資産を組み合わせることで、値下がりリスクを分散する方法もあります。初心者が資産形成を行う上で、こうした安定性は大きな魅力になるでしょう。
常に値動きを追い続けなくて良い
短期投資では、日々のチャート分析やニュースをこまめにチェックする必要があるため、時間的な拘束と精神的なストレスが大きいです。初心者が慣れないうちにこうした負担を抱えると、分析そのものが雑になってしまったり、過度に相場に振り回されるリスクも高まります。
一方、長期投資は比較的ゆったりとした姿勢で取り組むことができるのが利点です。少なくとも短期投資ほど頻繁な売買は不要なので、余裕をもって企業の業績や経済指標を確認しながら運用方針を考えることができます。忙しいビジネスパーソンや育児中の方でも取り組みやすいというメリットがあります。
テクニカル知識や投資経験が問われにくい
長期投資で重要なのは、企業や市場のファンダメンタルズを理解し、時間をかけて資産を成長させるイメージを持つことです。短期投資のようにチャートパターンや指標を駆使して売買タイミングを見極めるテクニカル知識はそこまで求められません。もちろん長期投資においてもある程度の知識は必要ですが、売買タイミングで勝負する短期投資ほど精密な分析や経験を重視しなくても、相場全体の成長や企業の成長を恩恵として取り込みやすい傾向にあります。
投資初心者がいきなり短期投資に挑戦すると、相場の変動を読む力やメンタルコントロール力を試される場面が多くなります。その結果、思わぬ損失を被ったり、投資自体が嫌になってしまうこともあるでしょう。まずは長期投資で相場の基本を学びつつ、余裕資金が増えてから短期投資に取り組むというステップを踏むのが無理なく始めるコツです。
まとめ
短期投資は、市場の小さな動きにも敏感に反応しながら利益を上げることができる反面、高いリスクや手数料負担、メンタル的なストレスなど、初心者にはハードルが高い側面があります。特に短期投資の初心者の場合、十分な投資経験や知識がないまま、短期間で利益を追求しようとすると失敗するリスクが大きいことは否めません。
一方で、長期投資は時間を味方につけ、リスクを抑えながら資産形成を目指す手法です。初心者にとっては、まず長期投資をベースにしながら投資の基礎を学び、資産をコツコツと増やすことが合理的といえます。もちろん、投資に慣れてきてリスク許容度が高まった後に短期投資を併用するのも選択肢の一つでしょう。
短期投資を始めるには、テクニカル分析や売買のタイミング管理、手数料や相場リスクに対する徹底した知識が必要です。まずは自分の投資目的やライフスタイル、資金量などを冷静に見極めてからスタートし、無理のない範囲で取り組むことをおすすめします。投資初心者だからこそ、まずはリスク管理を徹底し、しっかり学びながら堅実に投資と向き合っていきましょう。
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